STP分析の実践的なやり方とは?事例を交えて徹底解説

  • 「新規事業を始めるときに使えるフレームワークが知りたい」
  • 「そもそもSTP分析って何?」
  • 「セグメンテーションとターゲティングの違いがわからない」

新しくビジネスや商品を提供したいと考えたときに、マーケティングは無視することのできない存在です。

しかし、マーケティングのフレームワークといってもその数は多く、どれを活用すればいいのかわからないですよね。

このような新規ビジネスや新商品の企画を立ち上げる際にはSTP分析が有効ですよ。

世の中にはSTP分析をうまく活用して、ビジネスを成功させている企業がたくさんあります。

そこで、ここではマーケティングの基本的なフレームワークの一つである「STP分析」について4つの有名企業の実例を交えながら分かりやすく解説します。

STP分析のやり方や注意すべきポイントもあわせて解説していますので、効率的に自社の強みや顧客のニーズを把握し、成功に近づくヒントを得ることができますよ。

目次

STP分析とは?

STP分析とは、新たなビジネス展開や商品・サービスを提供するときにおこなうマーケティングの基本的なフレームワークの一つです。

マーケティングの父とも呼ばれるコトラーが提唱した手法で、Segmmentation(セグメンテーション)Targeting(ターゲティング)Positioning(ポジショニング)の3つの要素で構成されています。

セグメンテーションで市場を細分化し、ターゲティングでターゲットを絞り込み、ポジショニングで自社の立ち位置を把握することが可能です。

マーケティング分析は、「市場環境分析」→「戦略立案」→「施策立案」の3段階で成り立っており、STP分析はその中の「戦略立案」に該当します。

マーケティング分析の中間地点に位置付けられており、マーケティングに欠かせない手法です。

マーケティング戦略の立案の中でも初歩的な手法ですので、初心者の方はまず押さえておきたい手法の一つですね。

STP分析をすれば、自社商品を誰に売り出すか、競合会社と比べた時の自社の優位性はどこにあるのかを把握できるようになりますよ。

STP分析をおこなう目的は?

では、STP分析をおこなう目的はなんなのでしょうか?

それは、自社のサービスの強みや課題を明確にし、顧客やニーズを整理することです。

自社の強みや課題を明確にすることで、アピールポイントがみえてきますよね。

また、顧客やニーズを整理することで、どんな人が商品を購入してくれるのか具体的にイメージすることもできます。

マーケティング戦略を考えていく上で、このような分析は欠かせません。

STP分析をおこなう目的を細分化すると、以下の3つに分けることができます。

誰に何を売るのかを明確にする

顧客やニーズを整理することで、「誰に」「何を売るのか」を明確にできます。

STP分析をしっかりおこなえば、自社の商品をどんな人が購入してくれるのか、顧客はどんな商品を求めているのかを具体的にイメージできるのです。

ここを明確にできれば、どの市場にアピールするべきなのか、どんな手段で顧客に情報を届ければ良いのか計画を立てることができます。

他社との差別化を図る

自社の商品・サービスの強みや課題を明確にすれば、おのずと他社との差別化が図れるようになります。

自社の商品を顧客に選んでもらうためには、自社のアピールポイントをしっかり理解していないといけません。

STP分析をおこなえば、自社のアピールポイントを言語化することができます。

それをチーム全体で共有できれば、組織力の向上につながりますし、顧客に統一されたイメージを与えることも可能です。

競合との競争を回避する

STP分析をおこなうことで、競合との不必要な競争を回避できます。

STP分析で、「狙う市場」「競合」「アピールポイント」を明確にできれば、自社が優位に立てる戦略をとれるからです。

この分析がしっかりできていないと、競合との価格競争になりかねません。

同じような商品で同じ市場に参入してしまうと、顧客はより安価な商品・サービスを購入することになりますよね。

そうならないためにも、STP分析でより優位に立てるマーケティング戦略を練る必要があるのです。

STP分析のやり方【S】セグメンテーション(市場細分化)

STP分析の全体像が見えたところで、3つの要素をそれぞれ解説していきます。
まずは、STP分析の【S】セグメンテーションについて解説していきますね。

セグメンテーションは、ビジネスを進める上で、利用してもらいたいユーザー像をニーズごとに分類していくことです。

市場を細分化することで、ユーザー像やニーズをより細かく分類することができます。

例えば、「20代独身女性で美容に興味がある人」「30代の男女、既婚者で住宅購入を検討している人」などと年齢・性別、家族構成、価値観などでグループ分けをしていきます。

このようにセグメンテーションでは、ユーザーやニーズごとにグループ分けをして市場を細分化する役割があるのです。

細分化する4つの一般的な指標

上記で、セグメンテーションは市場を細分化する役割があると説明しました。

この細分化には4つの一般的な指標があり、それに基づいて細分化・グループ分けをしていきます。

4つの一般的な指標は以下の通りです。

それぞれ簡単に解説していきますね。

①デモグラフィック(人口統計的変数)

年齢、性別、職業、所得、学歴、家族構成などの個人の基本情報を元にした指標がデモグラフィック(人口統計的変数)です。

一般的に一つの指標ではなく、いくつかの指標を組み合わせて細分化していきます。

例えば、年齢、性別、職業を組み合わせたとき、この3つに当てはまる人たちには似たようなニーズがあると考えられるからです。

「30代 女性 事務職」の人たちは、長時間のデスクワークにより足のむくみが気になっていると仮定します。

そこから「どうにか足のむくみを解消したい」「体が疲れにくい椅子の購入をしたい」という悩みをもつと予想を立てることができますよね。

このような、消費者ニーズの大部分はデモグラフィックと密接につながりがあるため、4つの指標の中で最もよく使われます。

②ジオグラフィック(地理的変数)

国、地域、気候、文化、生活習慣などの地理的要素から判断されるのがジオグラフィック(地理的変数)です。

例えば沖縄と北海道では1年を通して気温に差がありますよね。

沖縄などの暖かい地域の住人は、涼むことができる商品に高い需要があり、北海道などの寒い地域の住人は、暖房器具などに高い需要があると予想できます。

このように、地理的要素によって売れる商品は変わるため、地域に合わせた商品を提供する必要がありますよね。

ですから地域を限定することは、その土地の特徴から市場を細分化するために必要な指標となります。

③サイコグラフィック(心理的変数)

サイコグラフィック(心理的変数)は、価値観、趣向、ライフスタイルなどの心理的特徴に強く結びつく要素を指します。

これらの情報は、アンケートやヒアリング調査などから情報を収集します。

同じ年齢や性別、生活習慣の人でもアウトドア派の人とインドア派の人とでは、必要としている商品・サービスは違いますよね。

最近では消費者ニーズの多様化が進んでいるため、個人のライフスタイルや価値観に注目したサイコグラフィックが重要視される傾向があります。

④ビヘイビアル(行動変数)

購入日時、購買情報、購買パターンなどのユーザーの実際の購買情報をもとにした指標がビヘイビアル(行動変数)です。

会員カードから得られる来店履歴や、購入履歴、Webサイトの閲覧履歴などから情報を得ることができます。

イメージしやすいように「トイレットペーパー」で消費者の購買パターンをみてみましょう。

最寄りのスーパーで購入したり、Webの定期購入を使用していたり、毎回違うメーカーのトイレットペーパーを購入していたりというように、トイレットペーパーという商品一つでも多くの行動パターンが考えられます。

実際の購買情報をもとに分類することができるので、ビヘイビアル指標でマーケティングを実践すると、想像通りの結果になることが多いのが特徴です。

セグメンテーションのポイント

セグメンテーションのポイントは細分化した市場が、小さすぎたり大きすぎたりしないように、適当な市場を見極めることです。

市場が小さすぎるとそもそも利益につながらなかったり、反対に大きすぎるとターゲットを見失しない誰にも刺さらなかったりと、収益性の低い商品・サービスになってしまう可能性があるからです。

こういった状況にならないためにもセグメンテーションを正確におこなう必要があります。

セグメンテーションが正確であるか、最適かどうかをチェックするには「4R」の視点から分析すると効果的です。

  • Realistic/Realistic scale(規模の有効性)・・・市場の規模が売上や利益を見込めるだけの大きさなのか
  • Rank(優先順位)・・・優先順位の高いセグメントからターゲティングできているか
  • Reach(到達可能性)・・・商品・サービス提供が可能かどうか
  • Response(測定可能性)・・・商品・サービスの提供後にユーザーの反応を測定できるか

また、以上の4つに、Rate/Rate of growth(成長性)とRival(競合状況)の2つの視点を加えて6Rと呼ぶこともあります。

セグメンテーションで細分化した市場が、これらの視点をクリアしているか確認することで、より正確で最適な市場分析ができるようになりますよ。

STP分析のやり方【T】ターゲティング(ターゲットの絞り込み)

次にSTP分析の【T】ターゲティングについて解説していきます。

ターゲティングは、セグメンテーションで細分化された市場を評価して、どの顧客をターゲットとするのかを決定することです。

細分化された市場の中から「より利益が出るところはどこか」「顧客に商品・サービスを提供することは実際に可能なのか」といった視点で市場を分析します。

ターゲティングで選ぶ市場を的確に絞り込むことができれば、狙った市場にアピールすることができ、競合との不必要な競争を避けることができます。

効率的にターゲティングをおこなう3つの手法

ターゲティングはターゲットを決定することですが、具体的にはどのようにして評価すれば良いのでしょうか?

狙う市場を決定する時に、効率的にターゲティングができる手法は大きく分けて3つあります。

ここではその手法を一つずつ解説していきますね。

  1. 無差別型マーケティング
  2. 差別型マーケティング
  3. 集中型マーケティング

①無差別型マーケティング

セグメンテーションで分類した市場をあえて無視して、さまざまな市場に共通の商品を提供する戦略のことを無差別型マーケティングといいます。

たくさんの市場に商品を提供する必要があるので、ある程度資金力がある大企業向けの戦略であるといえますね。

代表的な例としては、食料品や日用雑貨などで、日常生活に必要なものを大量生産しているような商品によく使われます。

ただし、消費者ニーズが多様化している現代においては、大企業であっても有効とはいえないケースが増えている傾向があります。

②差別型マーケティング

差別型マーケティングは複数の市場に対して、それぞれ異なる商品を提供する手法です。

自動車メーカーやアパレル製品では、この手法がよく採用されています。

自動車メーカーの例では、同じ商品を富裕層向けに少しグレードアップしたり、ファミリー層向けに価格を抑えたコスパ重視の商品を提供したりします。

また、アパレル製品ではそれぞれの年代に合わせたブランド展開をしているメーカーもありますよね。

例えば、「しまむら」「Avail」「Birthday」などの事業を展開している「しまむらグループ」が該当します。

それぞれ「20〜60代の主婦向け」「10〜40代の男女向け」「0〜12歳の子ども向け」というようにターゲットごとのニーズに合わせた商品を提供しています。※1

このように同じ商品をそれぞれのニーズに合わせて少しずつ、商品の機能や特性を変えて販売する手法が差別型マーケティングです。

スクロールできます
事業ターゲット主な商品
しまむら20代~60代の女性とその家族婦人・紳士・子供衣料  
肌着 靴下 服飾雑貨 靴 寝具
インテリア 雑貨
Avail
(アベイル)
10代~40代の男性・女性レディース・メンズ衣料
シューズ 服飾雑貨 
アンダーウェア 靴下 寝具 
インテリア 雑貨
Birthday
(バースデイ)
出産前~小学生の子を持つ親・祖父母ベビー・子供・マタニティ衣料
肌着 靴下 服飾雑貨 靴 寝具
ベビー用品 大型育児用品 
学童用品 玩具
※1しまむらグループ「事業内容」各事業の概要

③集中型マーケティング

狙う市場を絞って経営資源を投下し、自社の強みを最大限に生かす手法が集中型マーケティングです。

一つの市場に集中するため、経済資源が限られている中小企業などは選択しやすい手法であるといえますね。

自社の強みを生かせるという特徴があるので、高級ブランドやニッチな商品など、コアなファンがついている商品などに効果的です。

世間的には知られていなくても、ある分野ではとても有名な商品になることが集中型マーケティングでは可能になります。

しかし、一つの市場に集中して経済資源を投下するため、リスクを分散できないといった欠点もあります。

ターゲティングのポイント

ターゲティングはセグメンテーションで細分化した市場の中からターゲットを絞り込むことでしたね。

ターゲティングをする時は、「その市場で利益が見込めるのか」「顧客にアピールすることができるのか」「競合会社よりも自社が優位に立つことができるのか」などの視点からしっかり吟味して選択することが大切です。

上記の視点と、前述した「効率的にターゲティングをおこなう3つの手法」を掛け合わせて自社にとって最適な市場を選択してくださいね。

また、セグメンテーションとターゲティングの違いをしっかり理解していないと、それぞれの効果をうまく生かせなくなってしまいます。

ですから「セグメンテーションはターゲットを分類すること」「ターゲティングはターゲットを絞ること」というそれぞれの意味を覚えておいてくださいね。

それぞれの要素の意味を正しく理解しておくことで、分析がより効果的に活用できるようになりますよ。

STP分析のやり方【P】ポジショニング(立ち位置を把握)

最後に、STP分析の【P】ポジショニングについて解説していきます。

ポジショニングは、値段・品質・店舗数・販売チャネルなどの指標から競合と比較し、選定した市場での立ち位置を確認することです。

また、自社の強みを生かして勝負できるポジションを見つけます。

ポジショニングで自社の立ち位置を明確にしていないと、競合より優位に立つのは難しいでしょう。

競合と同等な商品・サービスの場合も価格競争になってしまう可能性もあるため注意が必要です。

また、顧客に「自社の商品が優れていると思ってもらう」ことも大切です。

ですから自社と顧客で商品・サ-ビスに対しての認識を一致させなければなりません。

ここにずれが生じると顧客から認知されず共感を得るのが難しくなるため、ターゲティングやセグメンテーションをさらに突き詰める必要があります。

このポジショニングを考える際にはポジショニングマップという手法を使うと効果的です。

ポジショニングマップは縦軸と横軸でグラフを作り、競合と自社がどこに位置するのかを書き出します。

そうすることで競合との差別化できるポイントが明確になり、ポジショニングをしやすくなりますよ。

ポジショニングのポイント

ポジショニングが立ち位置を確認する目的があるとわかったところで、ポイントを紹介していきます。

ポジショニングのポイントは大きく分けて2つです。

  • 一度に多くの指標で比較しないこと
  • データに基づいた分析をおこなうこと

一度に多くの指標で比較してはいけない理由は、指標が多すぎるとデータが複雑になってしまい、大事なことを見落とす可能性があるからです。

そのため、一度に比較する指標は1つ〜4つくらいがおすすめですよ。

また、データを無視して過去の経験や感覚で分析をおこなってしまうと、正確な分析ができなくなります。

正確に分析をしてマーケティングに生かすためにも、自社の理念と商品やサービスに整合性は取れているのか、本当に顧客に求められているのかなどデータに基づいた分析をおこなうことは大切だといえます。

STP分析をうまくおこなうコツ

ここまでSTP分析のそれぞれの要素を解説してきました。

では、STP分析をうまくおこなうにはどうすればいいのでしょうか?

せっかくなら、マーケティングに生かせるようにしっかり分析したいですよね。

ここでは、STP分析をうまくおこなうためのコツを紹介していきます。

これまでお伝えしてきたそれぞれが持つ役割を理解したうえで、参考にしてみてくださいね。

3つの要素は関連付けて考える

セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの3つの要素は関連づけて考える必要があります。

これらの3つの要素は互いに干渉し合っていて、何度も往復して分析することでより正確な分析ができるからです。

自社の商品・サービスを必要としている顧客はどんな人なのか、このターゲットにどうやってアピールすれば商品・サービスを届けることができるのか、この市場で自社の強みが活かせるのか、など3つの要素を何度も往復して考えることでより正確な分析ができます。

また、S→T→Pの順番にこだわる必要はありません。

自社の商品・サービスの重要なポイントは何かを考えて、3つの要素を何度も往復し、分析をおこないましょう。

顧客の目線で考える

会社の利益を追求するあまり、顧客の目線やニーズを忘れてしまうことがあります。

どんなに魅力的でよい商品・サービスを考えたとしても購入するのは顧客ですから、ここを忘れてはマーケティングは成功しません。

顧客のニーズを満たしているか、共感してもらえるのか、適切にアピールすることはできるのかを何度も確認する必要があります。

分析は繰り返しおこなう

STP分析に限ったことではありませんが、分析には定期的な見直しが必要です。

なぜなら、市場は常に変化しておりその都度環境を洗い直す必要があるからです。

分析を繰り返すことで、市場から取り残されたり、競合に差をつけられたりするリスクを少なくすることができます。

【事例で解説】有名企業のSTP分析をわかりやすく解説

ここまでSTP分析の要素や、ポイントを解説してきました。

しかし、具体的な例がないとイメージしにくいと思います。

ここでは、「ユニクロ」「マクドナルド」「スターバックス」「ライフネット生命」の4つの有名企業のSTP分析事例をわかりやすく解説していきますので参考にしてみてください。

「ユニクロ」のSTP分析事例

まずはユニクロのSTP分析から見ていきます。

ユニクロは、日本だけでなく世界20ヵ国以上で展開している誰もが知っている有名企業ですよね。

「LifeWear」「生活を豊か・快適にする究極の普段着」をコンセプトに商品開発をおこない、低価格、高品質、デザイン良しのブランドイメージを確立しています。

商品の企画から製造、販売まで一貫しておこない、余計なコストを削減している点もポイントです。

【S】ユニクロのセグメンテーション

ユニクロは、よく使われる年齢や性別などの人口統計的変数で市場を分析していません。

顧客の価値観、趣向などの心理的変数に着目して市場を細かく分類しています。

服を購入するときの顧客のニーズを考え、細かく分析しているのが特徴です。

【T】ユニクロのターゲティング

年齢層を特定しておらず、乳幼児から年配の方まで、幅広い年齢層を対象にしています。

また、最近ではジェンダーレスファッションを宣伝しているイメージもありますよね。

このように年齢や性別を限定せず、カジュアルやベーシックなスタイルを好む顧客をターゲットにしています。

【P】ユニクロのポジショニング

ユニクロは「暖かい服といえばユニクロ」「フリースといえばユニクロ」というようにブランドイメージを確立しています。

ヒートテックや、フリースなどは豊富なカラーバリエーションと、幅広いサイズ展開で年齢層も幅広く、すべての顧客が自分の好きな色、自分に合うサイズを探せるのも特徴です。

このような顧客に高く評価されている商品を低価格で販売できるのは、製造から販売までを一貫しておこなうユニクロの強みがよく生かされているといえます。

ユニクロの分析ポイント

ユニクロのSTP分析のポイントはセグメンテーションで、年齢や性別などの人口統計的変数ではなく、ユーザーのニーズに着目して分析をしているところです。

また、企画から販売までを自社でおこなっている強みを生かし安価で高品質な商品を提供することを実現しています。

「長く着れて、機能も品質も良い商品を、できれば安く買いたい!」という顧客のニーズを的確に分析して提供していることが分かりますね。

「マクドナルド」のSTP分析事例

マクドナルドは、世界各地に事業展開しているファーストフード店の代表格です。
ファーストフードというとマクドナルドが一番に思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。

コロナで飲食店が閉店に追い込まれる中、マクドナルドは優れた時代適応力と分析力でコロナ渦以前より売上を伸ばしています。
どのような分析をして時代に対応していったのか、STP分析からひも解いていきましょう。

【S】マクドナルドのセグメンテーション

飲食をする場所は自宅がいいのか店内がいいのか、食材にこだわりはあるのかなど顧客のニーズを細かく分析しています。

また、顧客層を限定せずにそれぞれの顧客のニーズに合わせた商品を提供することで幅広い人気を集めていますね。

近年コロナ渦で需要が高まったデリバリーやテイクアウトにも注力していることが特徴です。

【T】マクドナルドのターゲティング

マクドナルドは、ハッピーセットはファミリー層向け、朝マックは出勤前の会社員向け、夜マックは夕食をがっつり食べたい人向けなど、ターゲットによって商品の提供方法を変えて顧客にアピールしています。

マクドナルドは、食材に対して「国産じゃないと嫌だ!」など原産地に強いこだわりがある顧客ではなく、おいしさや手軽さを求める顧客に訴求していることも特徴です。

また、デリバリーやテイクアウトの提供により「外出せずに購入したい」「なるべく非接触で購入したい」という顧客の獲得に成功しました。

【P】マクドナルドのポジショニング

マクドナルドは「商品の提供が早く、低価格でおいしいファストフードが食べられる!」と世間にイメージが定着していますよね。

デリバリーやテイクアウトの利用もしやすく、駐車場で商品を受け取れる新しいサービス「パーク&ゴー」も早急に取り入れることで独自の地位を確立してきました。

数あるファーストフード店の中でも「より安くて、早く食べられる」というのはマクドナルドの強みといえます。

マクドナルドの分析ポイント

マクドナルドは、独自のブランドが確立されていて「おいしい!」「安くて早い!」などのイメージが定着しているのがポイントです。

顧客層に合わせたハッピーセットの販売や、朝マック、夜マックなど時間帯によってターゲットを変えて、幅広い人たちをターゲットにしていることも特徴です。

デリバリーやテイクアウト、パーク&ゴーなどの非接触型の提供方法を浸透させることに成功し、変化する時代のニーズを細かく分析していることが分かりますね。

「スターバックス」のSTP分析事例

スターバックスは家と職場以外で快適に過ごせる居場所「サードプレイスの提供」をコンセプトに掲げ、商品や場所を提供してきました。

スターバックスと聞くと「おしゃれ」「高級」などのイメージをする人も多いのではないでしょうか。高価格なのにも関わらず、人気は衰えず拡大し続けています。
その理由をSTP分析で見ていきましょう。

【S】スターバックスのセグメンテーション

スターバックスのセグメンテーションは、年齢を高校生からシニア世代まで細かく分類しています。
そこからさらに学生、主婦、会社員、公務員、自営業、ノマドワーカーというように職業別にも細かく分類していきます。

また、経済力はあるのか、地域は都市の中心部なのか地方なのかなど徹底的に市場を細分化しているのが特徴です。

【T】スターバックスのターゲティング

ターゲティングでは、高校生からシニア世代を対象にしています。

中でも、経済力のある会社員やフリーランスをターゲットに、「価格は高いけどおいしいコーヒー」と「ホッと一息着けるサードプレイスの提供」をしてきました。

また、季節ごとにSNS映えする商品を売り出すなど、若年層の顧客獲得にも成功しています。

【P】スターバックスのポジショニング

スターバックスは、企業のコンセプトである「サードプレイス」の提供が浸透しています。

サードプレイスとは、自宅でも職場でもない第三の場所という意味で、落ち着ける空間を提供するという独自のポジションを確立することに成功しました。

ノマドワーカーや主婦が、昼間に店舗内で落ち着いて仕事をしていたり会話をしていたりするのが印象的ですよね。

また、駅構内にある店舗では、電車の乗り継ぎや待ち合わせまでのちょっとしたスキマ時間でも、気軽に寄れる落ち着ける場所となっています。

スターバックスの分析ポイント

スターバックスは、セグメンテーションを年齢・性別・職業・社会的階層などと非常に細かく分類しています。

ターゲットを経済力のある会社員やフリーランスに絞り、高くておいしい商品を提供し始めたのもポイントです。
その後、若者にも受ける商品の提供を始めたことで、ターゲットの幅を広げることができました。

価格は高めでおしゃれで、でも落ち着ける場所という独自のポジションを確立しているのがスターバックスの分析ポイントです。

「ライフネット生命」のSTP分析事例

テレビでライフネット生命のCMを見たことがある人は多いのではないでしょうか。

ライフネット生命はインターネット専業の保険会社です。
インターネットで集客から手続きまでの作業をおこない、人件費を省くことで格安の保険を提供することに成功しています。
ではどのような視点でSTP分析をおこなっているのか見ていきましょう。

【S】ライフネット生命のセグメンテーション

年齢によるライフステージの変化や家族構成で市場を細かく分類しているのがライフネット生命の特徴です。既婚なのか未婚なのか、子供がいる場合は一番下の子の年齢はいくつなのかといった、顧客の変化していくニーズを考慮していることが分かりますね。

また、ネットの活用度はどのくらいか、ネットでの契約に抵抗があるかなど、年齢によるネットに対する顧客の価値観でも細かく分類しています。

【T】ライフネット生命のターゲティング

ライフネット生命のターゲットは主に若い子育て世代の人たちです。

これから支出が増える子育て世代の「もしもの時のために保険に加入したいけど、高い保険料は払えない」という悩みに着目し、低価格な保険料をアピールしています。

また、若い世代はネットの活用度が高く、ネットでの手続きへの抵抗が低い傾向があります。

そのため、ネットで契約が完了し、価格も安いライフネット生命はターゲットのニーズを満たしているといえますね。

【P】ライフネット生命のポジショニング

ライフネット生命はシンプルで分かりやすく、安い保険の提供というポジションを確立しました。

保険会社の営業マンから契約する従来の保険とは違い、顧客自身が必要な保険を選択しネットから申し込むことができます。

その結果、人件費を削減し低価格な保険料を提供することに成功したのです。

ライフネット生命の分析ポイント

ライフネット生命は、インターネットで手続きが完了し人件費がかからない分、保険料を低価格で提供することを実現しています。

分析のもと、保険にあてる支出を減らしたい子育て世代のニーズに寄り添ったことが成功につながっています。

また、対面での営業を敬遠していて、ネット手続きに抵抗がない年齢層をターゲットにしていることもポイントのひとつです。

STP分析と他のフレームワークを組み合わせて分析する

これまで解説してきたSTP分析は、他のフレームワークと組み合わせて分析することが重要です。

というのもSTP分析はあくまでたくさんあるフレームワークの一つです、STP分析だけをすればマーケティング戦略をたてられるというわけではありません。

4P分析や3C分析、SWOT分析などのフレームワークと組み合わせることで、より効果を発揮できます。
マーケティングは基本的に次のような流れでおこなわれます。

SWOT分析・3C分析(環境分析)→STP分析(マーケティング戦略立案)→4P分析(マーケティング施策立案)

ここでは、この3つのフレームワーク「4P分析」「3C分析」「SWOT分析」について簡単に解説していますので参考にしてみてください。

商品戦略のフレームワーク「4P分析」

まずは、マーケティング施策立案の手法である4P分析について解説していきますね。

4P分析とは、マーケティング施策を立案する際に使用するフレームワークの一つです。

「Product(商品・サービス)」「Price(価格)」「Place(販売場所・提供方法)」「Promotion(販促活動)」の頭文字をとって4P分析といいます。
では、それぞれの「P」の意味についてみていきましょう。

  • Product(商品・サービス)・・・商品・サービスのコンセプトを設定する
  • Price(価格)・・・商品・サービスの適正価格を分析し設定する
  • Place(販売場所、方法)・・・商品・サービスをどこで、どのように販売するかを設定する
  • Promotion(販促活動)・・・商品・サービスのアピール手段を設定する

このように、「どんな商品を」「いくらで」「どのように販売し」「どのようにアピールするのか」を具体的に決定していくのが4P分析です。

4P分析をより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。コツや企業の事例など詳しく解説しているので参考にしてくださいね。

自社・顧客・競合の3つの視点から分析する「3C分析」

次に、市場環境分析の一つである3C分析について解説します。

「Company(自社)」「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」の3つの頭文字をとって3C分析といいます。

3C分析は「内部環境=自社」「外部環境=顧客・競合」と2つのグループに分けることができるのが特徴です。

自社と外部環境を照らし合わせることで、自社の強みや弱みを明確にでき、効率的なマーケティングをおこなうことができます。

また3C分析では、自社・顧客・競合それぞれを分析することで成功要因の発見をすることが可能です。

STP分析の前におこなうフレームワークなので、この3C分析で成功要因や強み、弱みを明確にしておくと、その後の分析に役立ちます。

こちらの記事で3C分析の手順など詳しく解説しているので参考にしてみてくださいね。

強み・弱み・機会・脅威から分析する「SWOT分析」

最後に、もう一つの市場環境分析であるSWOT分析について解説します。

SWOT分析は、自社を取り巻く環境分析がおこなえるフレームワークの一つです。
PEST分析や5F分析、前述した3C分析よりも一番シンプルで取り組みやすい分析方法になります。

「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の4つの要素で構成されていて、自社独自の見解が得られやすいのが特徴です。

同業種でもSWOT分析をした場合、異なった結果になることも多く競合と類似した戦略につながりにくいのも魅力です。

初めてマーケティングする時はSWOT分析から取り掛かるのも良いかもしれませんね。

SWOT分析のやり方はこちらの記事でも詳しく解説していますよ。

まとめ

ここまでSTP分析について解説してきました。

最後に、STP分析について大事なポイントをまとめます。

  • セグメンテーションでは、4つの指標を用いてユーザーの属性を細分化し最適な市場に分類する
  • ターゲティングでは、細分化した市場の中から3つの手法を用いターゲットを絞り込む
  • ポジショニングは、選定した市場での立ち位置を1つ〜4つの指標で比較しデータに基づいてポジションを決める
  • S・T・Pの3つの要素に順序は関係なく、何度も往復して分析する
  • 顧客の目線を忘れずに戦略を立てる
  • 「4P分析」「3C分析」「SWOT分析」など他のフレームワークと組み合わせて分析し効果を最大限に発揮させる

STP分析は、マーケティング初心者の方でも取り掛かりやすいフレームワークの一つです。

この記事を参考に、STP分析を効果的におこなえば、市場の中で自社が優位に立てるようになります。

これからのご自身のビジネスを始める際にぜひ、活用してみてくださいね。

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